『物と経験のあいだ——カルロ・スカルパの建築空間から』で行なっているスカルパ作品の分析は、「カルロ・スカルパによる建築作品に見られる空間変移のデザインに関する研究」(東京大学、2013)という私の博士論文が元になっています。
この論文は、2014年時点の解説とともに本サイト内で公開しています。書籍では、分量を抑えるため、主に「第4章 スカルパ建築の経験」の分析を簡略化しました。もし、もう少し分析を見たいという方がいたら、論文をご覧ください(とくに論文[第3章]分析2前半のカステルヴェッキオ美術館)。なおその際、論文と本では「空間図式」と「空間変移」に関する用語の表記を一部変更していますので、以下の一覧(PDF有り)を参照してください。これらの変更は、なるべく直感的に理解できるようにしたいと意図したもので、内容的には変わっていません。
表記を変更した用語一覧
論文(2013) >>> 書籍(2024)
空間図式
〈周辺空間〉>>>〈放射空間〉
空間変移のタイプ
移動タイプ(略号M)>>>《穴》(略号H)
並置タイプ(略称D)>>>《群》(略号G)
空間変移のデザインパターン(略号のみの変更は省略)
移動後に変移が浮かび上がるフレーミング(M1)>>> フレーミング横断(H1)
表裏非対称フレーミング(M1c)>>> 非対称フレーミング(H1-c)
交差面フレーミング(M1c-i)>>> 洞穴的フレーミング(略号なし.「H1-c」に含む)
オブジェクト並置(D1)>>> オブジェクトの《群》(G1)
類似オブジェクトの拡散(D1a)>>> 類似オブジェクトの離散(G1-a)
対比オブジェクトの凝集(D1b)>>> 対比オブジェクトの近接(G1-b)
床・壁・天井の分離(D1b-i)>>> 対照項目なし(「対比オブジェクトの近接」に含む)
背景オブジェクト(D1b-ii)>>> 対照項目なし(「対比オブジェクトの近接」に含む)
フレーミング並置(D2)>>> フレーミングの《群》(G2)
オブジェクト-フレーミング並置(D3)>>> オブジェクトとフレーミングの《群》(G3)
オブジェクト-フレーミング並置(D3a)>>> オブジェクト・フレーミング並置(G3-a)
ジグザグフレーミング(D3a-i)>>> ジグザグフレーミング(G3-b)
属性並置(D4)>>> 属性の《群》(G4)
類似属性の拡散(D4a)>>> 類似属性の離散(G4-a)
対比属性の凝集(D4b)>>> 対比属性の近接(G4-b)